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成年年齢が18歳に引き下げられることによる影響

2022-03-24

 報道等でご存知の方も多いかと思いますが、令和4年4月1日から、成年年齢が18歳に引き下げられます。
 早く大人になりたいという若者にとってはいいニュースかもしれませんが、成人=大人になるによりできることも増えますが、法的義務を負うケースも多くなります。
 成人年齢の引き下げにより変わること、変わらないことについてご説明します。

保護者の同意なしにできるようになること

(1)契約

 ・アパートの入居契約
 ・携帯電話の回線契約
 ・アルバイトなどの雇用契約
 ・クレジットカード利用契約
 ・お金を借りる契約(金銭消費貸借契約) など

(2)法律行為

 ・遺産分割協議
 ・相続放棄 など

(3)専門職などの資格登録

 18歳から、次の専門職の登録をして仕事ができるようになります。

 ・司法書士
 ・土地家屋調査士
 ・行政書士
 ・社会保険労務士
 ・公認会計士
 ・医師
 ・歯科医師
 ・獣医師
 ・薬剤師

(4)その他、18歳からできるようになること

 ・10年用パスポートの取得
 ・帰化
 ・人権擁護委員、民生委員資格
 ・性別の取り扱い変更の審判

成人年齢の引き下げ後も、20歳にならないとできないこと

 ・お酒を飲む
 ・タバコを吸う
 ・ギャンブル(競馬、競輪などの投票券の購入)
 ・養子縁組(養親になること)
 ・大型、中型免許の取得
 ・国民年金の被保険者資格の取得
 ・船長、機関長
 ・猟銃所持の許可取得 など

契約する前によく相談、確認しよう!

 18歳からできることのうち、最も影響が大きいと思われるのはやはり「契約が単独でできること」だと思います。契約をするにはさまざまな事項の判断が必要になります。

 未成年者が親の同意を得ずに契約した場合、その契約は原則として取り消すことができます。
 これまでは、未成年であった18歳の方が単独で契約をしても、後で取り消すことができました。しかし、4月1日以降は、18歳の方が契約をするとその契約は有効になり、取り消すことはできず、契約上のさまざま義務を負うことになります。たとえば、お金を借りる契約をすれば利息を含めて返済していかなければなりませんし、ゲーム課金をすればその支払いは保護者でなく本人がしなければなりません。クレジットカードで買い物をすればその支払いも自分ですることになるのです。

 ご自身の収入に見合う支払いや返済なのかどうか、その契約をすることでどのような義務を負うのか契約をするときにきちんと確認することがとても重要になります。

 気がつかないところで、日常生活の中には契約行為があふれています。今回の法改正によって消費者被害が増えるのではないかとも懸念されているところです。成人になりたての若い方が大きな契約をしようと思うときは、ぜひ周りの人や消費者センター、あるいは私たち司法書士などの専門家によくご相談いただきたいと思います。

法テラスを利用して債務整理をする方法③~法テラス利用の流れ~

2022-03-13

 法テラスを利用して借金問題を解決するまでの流れについてご説明します。

法テラス利用申込の2つの方法

 法テラスの民事法律扶助の申し込み方法には、次の2つがあります。

(1)直接法テラスに行き申し込む方法(飛び込み方式)
(2)自分で探した弁護士・司法書士が法テラスに申し込む方法(持ち込み方式) 

 一見、自分が直接法テラスに行く方法のほうが手っ取り早いような気がするかもしれません。しかし、直接法テラスに行くと依頼する弁護士・司法書士を自分で選べず、時間もかかるなどデメリットがあります。
 持ち込み方式であれば、自分で相性のあう司法書士等を選べますので納得感がありますし、スピードも速いといえます。 以下では、持ち込み方式の場合の流れについてご説明します。

法テラス利用の流れ

(1)弁護士・司法書士の事務所に問い合わせ、相談

 ホームページや紹介などにより弁護士・司法書士事務所を探して問い合わせし、相談を受けてみましょう。債務整理は長期間のお付き合いになりますから、相性の良さ、説明の分かりやすさなどを確認するとよいでしょう。
 また、法テラス契約弁護士・司法書士でないと法テラス利用はできないので、法テラス利用を希望する旨も伝え、対応可能かどうかも必ず確認してください。

(2)弁護士・司法書士を通じて民事法律扶助を申し込む

 相談を受けて依頼しようとする弁護士・司法書士が決まったら、その弁護士・司法書士を通じて法テラスの民事法律扶助を申し込みます。
 申し込みには、収入証明書類(給与明細、源泉徴収票など)や住民票などいくつかの書類が必要になりますので、それらを用意した上で申し込みをします。

(3)法テラス、弁護士・司法書士と委任契約

 無事に法テラスの審査が通ったら、法テラス、弁護士・司法書士と依頼者の三者間で委任契約を締結します。依頼者から弁護士・司法書士へ債務整理の委任をし、その費用を法テラスが立て替えて弁護士・司法書士に支払い、依頼者が法テラスに分割払いで償還(返済)していくという内容の契約になります。

(4)事件処理

 受任者となった弁護士・司法書士が、任意整理、自己破産申立てなど債務整理の手続きを行います。事件処理の方針は、法テラスを利用する場合と利用しない場合とで大きな違いはありません。

(5)立替金の分割払い(償還)

 法テラスに立て替えてもらった費用は、援助開始決定後から、毎月5,000円~10,000円程度の分割払いで法テラスに返済していきます。返済期間は3年以内で、月々の返済額は法テラスが決定します。
 なお、生活保護受給者については、返済が猶予・免除されます。

まとめ

 法テラス利用の流れについてご説明しました。

 ・法テラスに直接行くのではなく、法テラス契約弁護士・司法書士の事務所に相談する
 ・事件処理の流れは、法テラス利用しない場合とほぼ同じ
 ・立替え費用の返済は、月々5,000円~10,000円。生活保護受給者は免除されることも。

 当事務所は法テラス契約司法書士です。司法書士の費用が不安な方も、お気軽にご相談いただければと思います。

法テラスを利用して債務整理をする方法②~法テラス利用の条件~

2022-02-26

 前回のコラムでもご説明した通り、法テラスは、十分な収入や資産をお持ちでない方でも法律サービスを利用できる制度です。    
 今回は、どれくらいの資力や収入であれば法テラスを利用できるのかなど、法テラスの支援を受けるための条件についてご説明します。

法テラス利用の3つの条件

 法テラスによる民亊法律扶助のサービス(無料相談や、弁護士・司法書士への費用の立替え)を受けるためには、次の3つの条件を満たすことが必要です。

1 収入等が一定額以下であること
2 勝訴の見込みがないとはいえないこと
3 民事法律扶助の趣旨に適すること

1 収入等が一定額以下であること

 次の「(1)収入基準」と「(2)資産基準」を両方とも満たしていることが必要です。

(1)収入基準

法テラスを利用するための手取月収額(賞与を含む)は、ご家族(同居の扶養親族)の人数により次のように決まっています。
*手取月収額は、法テラスの利用申込者とその配偶者の合計です。
*(  )内の数字は、東京23区、川崎市、横浜市など生活保護一級地の場合に適用されます。

人数手取月収額家賃又は住宅ローンを負担している場合の加算額 
1人18万2,000円以下
(20万200円以下)
4万1,000円以下
(5万3,000円以下)
2人25万1,000円以下
(27万6,100円以下)
5万3,000円以下
(6万8,000円以下)
3人27万2,000円以下
(29万9,200円以下)
6万6,000円以下
(8万5,000円以下)
4人29万9,000円以下 (32万8,900円以下)7万1,000円以下
(9万2,000円以下)
5人以上1人につき30,000円(33,000円)を加算 

(2)資産要件

 申込者とその配偶者が保有する資産(現金、預貯金、有価証券、不動産など)が、家族の人数に応じて次の金額以下であることが必要です。
*将来負担すべき医療費、教育費などの出費がある場合は相当額が控除されることがあります。

人数資産合計額の基準 
1人180万円以下
2人250万円以下
3人270万円以下
4人以上300万円以下

2 勝訴の見込みがないとはいえないこと

 厳密にいえば過払金以外を除く債務整理においては、借金している方に支払義務がありますから、訴訟で判決まで行けば敗訴してしまうので、勝訴の見込みがないと思われるかもしれません。  
 しかし、「勝訴の見込み」には、和解、調停、示談等により紛争解決の見込みがあるもの、自己破産の免責見込みのあるものも含まれます。任意整理では債権者(サラ金)との交渉や和解により解決の見込みがあるといえますし、自己破産でも免責見込みがあればこの条件は満たします。借金問題ではほとんどのケースでこの条件を満たすと考えられますので、ご安心ください。

3 民事法律扶助の趣旨に適すること

 報復的感情を満たすだけや宣伝のためといった場合、または権利濫用的な訴訟の場合などは援助できません。生活再建を目的とする債務整理においては、特に問題なく条件を満たすといえます。

まとめ

 法テラス利用にあたってもっとも気になるともいえる利用条件についてご説明しました。特に重要なのは収入基準、資産基準になります。個別の計算方法で判断が難しいケースもあるかと思いますので、お気軽にご相談いただければと思います。

 次回は、法テラス利用の流れについてお話していきたいと思います。

法テラスを利用して債務整理をする方法①

2022-02-20

お金がなくても司法書士や弁護士に依頼できる?

 借金問題の解決を司法書士や弁護士に相談しようとしたときにハードルとなるのが、報酬の問題だと思います。自己破産したい、あるいはお金に困っているのに報酬が20万円とか30万円とか言われても、困ってしまいますよね。

 実は、十分な収入や資産をお持ちでない方でも法律サービスを利用できるように、「法テラス」という国の機関が設置されています。法テラスという名前を聞いたことがある方もいらっしゃると思いますが、具体的にご自身が利用できるのか、どのようなサービスが受けられるのかなどよくわからない点も多いのではないでしょうか。

 ここでは、法テラスが取り扱う業務のうち、債務整理にかかわりの深い「民事法律扶助業務」のサービスの内容や利用条件などについて、何回かに分けてご説明したいと思います。

法テラスの民事法律扶助業務の内容

 一定の利用条件を満たしている方は、次のような支援が受けられます。

法律相談援助

 法テラスと契約している弁護士や司法書士が、30分間無料で相談に応じてくれます(申込書などへのご記入が必要です)。なお、当事務所も法テラス契約司法書士です。
 相談場所は法テラスか契約弁護士、司法書士の事務所に限られています。また、法律相談援助は1つの案件につき最大で3回までとなります。

代理援助

 弁護士、司法書士に裁判などの手続きを依頼した場合、その費用(着手金や報酬、実費)を法テラスが立て替えてくれる制度です。たとえばサラ金業者から訴訟提起や支払督促申し立てをされてしまった場合に、司法書士がご依頼者の代理人として簡易裁判所での手続きを行うようなケースです。
 なお、あくまで立替えなので、後で月5,000円~10,000円程度の分割返済をしていくことになります(生活保護受給者など一定の条件を満たす場合は、返還が猶予されることもあります。詳しくは後日、別のコラムでご紹介します)。 
 一般の弁護士事務所等の報酬規程に比べると法テラスの報酬基準は低めに設定されているので、その点も利用しやすいといえます。

書類作成援助

 弁護士、司法書士に裁判所へ提出する書類の作成を依頼した場合、その書類作成費用(報酬、実費)を立て替えてくれます。返還などについては代理援助と同じです。
 司法書士が自己破産や個人再生の申立書作成支援をする場合にご利用いただけるケースが多いといえます。なお書類作成援助の場合は、裁判所の期日にはご自身で出頭していただくことになります。

まとめ

 以上、法テラスで受けられるサービスについてご説明してきました。無料で相談を受けられたり、どうしても高くなりがちな弁護士費用・司法書士費用を立て替えてくれたり、経済的に厳しい方が法律サービスを受けることを支援してくれるというのが最大の特徴といえます。
 とはいえ、法テラスは国の機関であり税金で運営されていますので、誰でもこのような支援を受けられるわけではありません。次回は、法テラスの民事法律扶助支援を受けるための条件(特に収入要件や資産要件など)についてご説明したいと思います。

 

銀行預金口座が差し押さえられたらどうなる?(相談事例から)

2022-01-18

 預金口座が差し押さえられた!

 突然、預金残高が0円になった!

 というご相談を、最近何件かお受けしました。  
 銀行預金が差し押さえられると、裁判所から「債権差押命令」が届きます。銀行預金は生活する上で欠かせないものですから、さすがに慌てますよね。

銀行預金が差し押さえられるまでの流れ

 借金を返済しないからと言って、いきなり銀行預金が差し押さえられることはありません。銀行口座の差押えまでには、次のようなステップを踏みます。

(1)返済金の滞納
(2)債権者から督促状(訴訟予告書など)が送られてくる
(3)債権者(サラ金業者等)により裁判が起こされる(または、支払督促申立てがされる)
(4)裁判所により、債権者への勝訴判決等が出される
(5)債権者が銀行預金の差押申立て
(6)裁判所により銀行預金の差押命令が出される
(7)1週間後に、差し押さえられた預金から取立て(回収)される

 差押えの前提として、(2)や(3)の段階で、サラ金や裁判所から郵便が届いているはずです。その段階でご相談いただければ預金差押えになる前に対処することが可能だったと思いますが、今回ご相談に来られた方は全員、そのような郵便は捨ててしまっているか、受け取った覚えがないとのことでした。

預金が差し押さえられたらどうなる?

 銀行預金が差し押さえられると、差押えられた日時点の残高は引き出せなくなります。

 差押え額の上限はありませんので、残債権額より預金残高が少なければ、全額回収されて残高が0円になることもあります。

 ただ、原則として、それ以降に入金されてくるお金については影響が及びません。口座が凍結して使えなくなってしまうのではないか、と心配して慌てる方が多いのですが、そんなことはありません。ふつうに給与は振り込まれてきますし、口座振替に備えて入金することもできます。
 とはいえ、債権者が1回目の差押えで回収しきれない場合、2回目の預金差押申立てをすることもありますから、早めに対応・解決することが必要です。

差押の解除(ストップ)は、事実上むずかしい

 こうしたケースでは、ほとんどのご相談者の方が「差押えをやめさせられないか?」というご相談をされるのですが、残念ながらほとんどのケースでは難しいです。

 というのも、債権者としては差押命令から1週間経過すれば預金残高を回収できる訳ですから、差押えの取下げに応じるメリットがありません。交渉による取下げに応じてくれるとすれば、残債を一括返済するケースくらいでしょう(レアケースですが、当事務所の相談事例では、一括返済により返済額を大幅減額された事例もありました)。  一方、自己破産や個人再生の開始決定がされると、銀行預金の差押えは一時的に停止されます。

お早めの相談がとても重要

 たとえば残債権額が100万円、差押え時点での預金残高が30万円の場合など、1度の差押えで回収できないと、債権者は当然2回目以降の差押を申し立ててきます。

 給与振込口座を変えるなど場当たり的な対応で逃げる方法も無くはありませんが、それでは借金問題の根本的な解決にはなりません。2回目の差押えがされる前に、借金問題にきちんと向き合い、任意整理、自己破産、個人再生などの債務整理手続きを進めることが大切です。サラ金等の債権者としても、司法書士が間に入って交渉を始めれば、手間のかかる差押えを繰り返すことも無いでしょう。  

 預金差押えがされる段階というのは、かなり追い込まれた状況です。当事務所では無料相談を行っていますから、お早めに司法書士へご相談いただきたいと思います。

まとめ

銀行預金の差押えについてご説明してきました。

・借金の返済が滞ると、裁判手続き等をへて最終的には預金口座が差し押さえられる可能性がある。
・差し押さえられた預金は、債権額によっては全額回収され、残高が0円になることもある
・銀行預金が差し押さえられても、口座自体が凍結されるわけではない
・差押えの解除は、事実上難しい  


 預金が差し押さえられた時のショックは甚大だと思いますし、もし生活費や給与振込み用の口座であればその影響も大きいと思います。しかし、これを機に借金問題に正面から向き合い、生活再建の方向へ進んでみませんか。当事務所では、司法書士がそのお手伝いをします。当事務所の無料相談をご利用いただき、どうぞお気軽にご相談ください。

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