職場に債務整理のことを知られたくない

借金のことで相談にいらっしゃる方には、家族や職場には債務整理していることを内緒にしたい、というご要望が多いです。特に会社に借金のことがばれてしまうと、借金を原因として解雇などされることは無いものの、気分的に出勤するのに気が重くなってしまいますし、職場の中でも偏見を持たれるなど仕事がしにくくなるでしょう。

当然、司法書士には守秘義務がありますので我々から秘密が漏れることはありません。安心してご相談いただければと思います。

ただ、さまざまな法的手続きの中で、職場に債務整理のことを知られてしまうケースも無いわけではありません。職場に知られる可能性は高くないのですが、そうしたケースのことを知ることにより、早めの対応で職場に知られないようにすることが可能です。

ここでは、職場に債務整理のことが知られてしまう可能性のあるケースと、それぞれのケースにおける対応策についてご説明します。

給与差押えの通知が裁判所から届くケース

借金の返済を滞納すると、いずれ債権者が裁判を起こします。これを無視して判決が出ると、債務者の財産に対して強制執行ができるようになり、給与もその対象になります。給与を差し押さえる場合、裁判所から会社に対して、「給与(の一部)は本人に払わず、債権者(サラ金)に払うように」という命令通知が届きます。これで、職場に借金のことがバレてしまうことになります。

このケースの対応策として、まず裁判所から手紙が届いたら無視しない、ということです。訴訟等が起こされると、裁判所から「特別送達」という郵便で「訴状」や「支払督促」という書類が届きます。これが届いたら至急開封してください。無視しているとすぐに判決や決定が出てしまいます。職場にバレてしまったという相談の大半は、この裁判所からの通知を無視したというケースです。

そして、裁判所から郵便が届いたら、司法書士や弁護士へすぐに相談しましょう。判決前に司法書士等が代理人に就けば、裁判手続きの中でも分割払い等による解決が図れます。

もっと言うと、その前の段階で、少しでも早く司法書士に相談することが重要です。裁判が起こされる前に、サラ金等から「これ以上払わないと裁判起こしますよ」という督促状(訴訟予告)が手紙で届くのが通常です。このような手紙が届くころには返済はかなり滞っているはずですが、裁判前の段階で司法書士に依頼すれば裁判を起こされることもなく、任意整理など裁判をしない方法での解決をできる可能性もあります。また、司法書士が受任すれば、交渉連絡は司法書士がすべて窓口になり、職場などに連絡がいくことはほぼありえません。

会社から借り入れをしているケース

サラ金等だけではなく、会社の貸付制度などを利用して会社から借り入れをしているケースがあるかもしれません。

自己破産や個人再生といった裁判所の関与する手続きの場合、原則としてすべての借金を対象にしなければならないため、職場からの借金に関する資料も裁判所に提出します。すると、裁判所から貸主である職場に通知が届き、債務整理のことを知られてしまうことになります。

このような場合は、可能な限り任意整理による解決を目指すとよいと思います。任意整理の場合、どの債権者について任意整理するかを選ぶことができます。職場に対する借金は任意整理をせず、利息の高いサラ金等からの借金のみを任意整理すれば、月々の支払額を減らすことができ、職場に知られなくて済みます。

退職金見込証明書の取得が必要なケース

自己破産や個人再生といった裁判所の関与する手続きする場合、財産調査の1つとして「退職金見込証明書」という書類を職場から発行してもらい、裁判所に提出する必要があります。これは、「もしいま退職した場合、退職金はいくらになるか」という内容の証明書です。

職場にこの発行を依頼すると、通常は「なんで?やめるの?」など疑いの目で見られかねず、職場へバレる可能性が無いとも言えません。

「退職するつもりは全くありません」ときちんと伝えた上で、「不動産の購入を検討していて、返済計画を考えたい」「保険会社で生活設計のためのライフプランの作成をしていて、その資料で使いたい」など、なんとか納得のいきそうな理由を話して発行してもらうしかないでしょう。ただどうしても不自然な感じは残ります。

もし職場に退職金規程がある場合、その規程をコピーできれば退職金証明書の代わりにできることもあります。もし退職金規程を入手できるなら、この方法のほうが、より職場に債務整理のことを知られにくいと言えます。

まとめ

職場に債務整理のことが知られてしまう可能性のあるケースとその対応策についてご説明しました。

共通しているのは、職場に知られるリスクがあるのは裁判手続きによるケースだということです。裏を返すと、任意整理で解決できるのであれば、まず職場に知られることはありません。

また、もしやむを得ず裁判手続きになりそうな場合は、とにかく1日でも早く司法書士にご相談いただきたいと思います。たとえば、1日早ければ判決を回避することができ、給与差押えをされず、職場に知られなくて済むということもあるのです。

職場に知られたくない、というのはとても多い相談です。実際に職場に知られずに債務整理ができるかどうかは、相談のタイミングにかかっています。少しでも返済に不安があれば、お早めに当事務所へご相談ください。

keyboard_arrow_up

電話番号リンク 問い合わせバナー