奨学金・教育ローンの債務整理をしたい

奨学金・教育ローンの債務整理をしたい

子どもの教育にはお金がかかります。ある統計によれば、小学校から大学まですべて国公立としても744万円、逆に小学校からすべて私立学校に通うと約2,500万円(医学部等の場合を除く)もの教育費がかかるとのことです。それ以外に食費、衣服費などの養育費は22歳までに合計で1,640万円もかかるそうですから、子ども1人を育てるのは本当に大変なことです。私にも子どもが2人いますのでよく分かります。

子どもの将来を考えて親が教育ローンを組んだり、子ども自身が奨学金を申し込んだりするものの、不況やコロナ禍などの影響を受けてこれらを返済できず、債務整理を検討される方もいらっしゃると思います。

サラ金等からの借入れとは違った、奨学金・教育ローンに特有のポイントもありますので、ご説明していきたいと思います。

奨学金と債務整理

奨学金には、給付型のものと貸与型のものがあります。給付型については返済しなくてよいので債務整理の問題にはなりませんが、貸与型の場合は返済が必要になります。

貸与型の奨学金は、子ども本人が主体となって借り入れるものです。卒業後に、子ども自身で返済をしていくことになります。

奨学金といえば、独立行政法人日本学生支援機構が代表的だと思います。教育を受ける権利を保障する趣旨もあり、貸付利息はここ数年1%未満の低金利です。また基本的には20年など長期間にかけてゆっくりの返済になりますから、月々の返済額も抑えられています。

とはいえ、卒業後すぐに就職ができないとか、十分な給与収入が得られない等の理由で、奨学金の返済が苦しいというケースもあるかもしれません。こうした場合、どのような対応をすればよいのでしょうか。

任意整理は、あまり意味が無い

任意整理は、将来利息をカットして返済を楽にする点に特徴がありますが、上記のとおり、奨学金はサラ金等とは異なり超低利息ですから、利息をカットしてもあまり効果がありません。

自己破産、個人再生

奨学金の返済について個人再生や自己破産で減額したり免責することもできなくはないのですが、実際のケースとしてはあまり多くないかもしれません。むしろ、サラ金等の借入れをし、その方が奨学金も返済できないでいる、という方が多いでしょう。

自己破産や個人再生を利用すれば確かに本人の支払いは免除または減額されますが、注意すべきなのは親が連帯保証人になっている場合です。子どもが返済できない場合には親に一括支払いを請求されてしまいます。

減額返還制度、返済猶予制度を利用しよう

日本学生支援機構では、奨学金の返還が難しくなった方のために、月々の返済額を少なくする「減額返還制度」と、返済を待ってもらえる「返済猶予制度」が用意されています。

年収要件など一定の条件はありますが、最長10年~15年は待ってもらえるとのことですから、債務整理の前に、こちらの制度の利用を検討してみるとよいと思います。

教育ローンと債務整理

教育ローンについては、子の教育資金に充てる目的で、親が主体となって借り入れをするものです。ですから、もし返済できない場合は、親が債務整理を行うことになります。

多くの銀行や信用金庫などで教育ローンの商品が用意されています。奨学金ほどではありませんが、1%~2%台の利率のものが多く、利用しやすいと言えます。

教育ローンもローンの一種ですから、債務整理することは可能です。ただ1つ注意点があって、それは教育ローンを組んでいる銀行等に預金口座を持っている場合です。教育ローンについて債務整理を開始すると、その銀行等の預金口座が一時的にロックされてしまうのです。言うまでもなく、預金残高から、教育ローンを回収するためです。

ですから、教育ローンについて債務整理をしようと思う方は、事前に預金を別の銀行に移したり、給与振込口座やライフライン等の引落し口座を別の銀行に変更しておいたほうがいいでしょう。

任意整理であれば、教育ローン以外の高金利なサラ金等のみについて任意整理をし、低金利の教育ローンは引き続きそのまま支払っていく方法が良いと考えられます。任意整理をすると新しいローンは組めませんが、すでに契約済みのローンについては支払いをきちんとしている限り影響を受けません。

まとめ

奨学金・教育ローンの債務整理についてご説明してきました。

サラ金等と異なり利率が低いので、債務整理以外の方法で解決できることもあれば、奨学金・教育ローンを外した任意整理も有効です。それでも返済しきれないときは、保証人に配慮しながら個人再生、自己破産を検討することになります。

奨学金・教育ローンを含めた債務整理に関することは、お気軽に当事務所にご相談ください。

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