自己破産の流れ(同時廃止の場合)

ここでは、自己破産の流れ(同時廃止の場合)についてご説明します。


自己破産には同時廃止と管財事件の2種類ある

自己破産の流れをご説明する前に、自己破産手続き、特に「同時廃止って何?」という点について簡単にご説明します。

 

自己破産手続きは、「同時廃止」と「管財事件」の2種類があります。

この違いについて簡単にご説明します。なお、実務上、自己破産手続きの多くは「同時廃止手続」でされており、同時廃止の方が費用が少なくてすみます。


同時廃止とは

特に高額な財産がない場合の自己破産手続きです。財産が少ないため財産内容について裁判所による調査の必要がなく、破産手続きが開始すると同時に終了するという制度です(なお、その後に「免責手続き」が別途あります)。


同時廃止となる基準

横浜地裁管轄の場合、財産面では、次の両方を満たす場合は同時廃止となります。

  1. 個々の財産(貯金、自動車、保険解約返戻金など)のいずれかで20万円以上の価値を有するものがない
  2. 所有している現金が33万円未満である(貯金ではなく、現金です)


この基準によると、たとえば

現金25万円、自動車15万円の場合は同時廃止

現金2万円、自動車21万円の場合は管財事件

となります。


管財事件とは

ある程度財産額が多いなど、裁判所による財産調査が必要と判断される場合は「管財事件」になります。財産額による振り分け基準は上に書いた通りです。

また、財産額が少なくても、申立人が法人代表者や個人事業主である場合、負債総額が5000万円を超えるとき、不公平な返済をしているとき等、管財事件になるパターンはいくつかがあります。


同時廃止と管財事件の比較

裁判所に納める費用の額が大きく違います。

同時廃止の場合は、予納金1万円ちょっとです。

一方、管財事件の場合は裁判所から「破産管財人」という人が選ばれるため、その報酬に充てる予納金が高額になります。

横浜地裁の場合、弁護士代理人が付く場合は20万円、司法書士が関与する場合は30万円、ご本人が申し立てる場合は50万円とされています。

なので、管財事件になりそうなときは、弁護士に依頼したほうが費用的には安くなる可能性があります。


自己破産(同時廃止)の流れ

1 お問い合わせ

まずは、お問い合わせフォームまたはお電話でご連絡ください。「ホームページを見て、債務整理の件で」とお伝えいただくとスムーズです。

現在の状況を簡単にヒアリングするとともに、ご希望の方には無料相談の予約をさせていただく流れになります。

借金整理の流れ

2 無料相談

今の借り入れの状況、家計の収支状況などをお聞かせいただき、どのような解決方法があるか選択肢をお示しします。また、債務整理をした場合のメリット、デメリットについてご説明します。

なお、この時点では、自己破産という方針が決まるとは限りません。借入先の中に過払い金があるかもしれないし、一部の業者の任意整理をすれば返済が可能というケースもあるからです。実際、自己破産するつもりでご相談にいらした方が、実は過払金が発生していたという例は少なくありません。正式な債務整理方針は、ご依頼の後の調査結果に基づいて検討をしてきます。

借金整理の流れ

 

3 お見積り、ご契約

無料相談の結果、ご依頼を検討いただける場合は、必要な手続きと流れをお伝えするとともに、お見積書をご提示します。

ご納得いただけましたら、正式なご契約書に捺印をいただきます。この際に、必要書類のご案内もいたします。

借金整理の流れ

4 受任通知の発送

正式にご依頼をいただきましたら、サラ金などの債権者に対し受任通知という手紙を発送します。この瞬間から、ご本人への電話や郵便等による督促がすべてストップします。

  

借金整理の流れ

5 債務、財産、家計の調査

受任通知を発送して数週間~1カ月程度で、過去の取引履歴が司法書士に開示されます。これで全体的な借り入れの状況が判明します。

一方で、ご依頼者の方が所有する財産の内容が分かる資料をいただくとともに、家計の収支について出納帳をつけていただき、返済にまわせるお金(返済原資)が月にどれくらいか、状況を把握します。

借金整理の流れ

6 方針の決定

5の調査から、今後返済していくことが難しい、支払不能の状況だと判断されれば、自己破産により解決をするという方針を決定します。

借金整理の流れ

7 管轄裁判所に自己破産の申立て

司法書士が作成した申立書の内容をご説明し、よろしければ署名捺印をしていただきます。その後、申立書と添付書類を併せて裁判所に提出します。また、破産費用(郵便切手、予納金、収入印紙)も納付します。

借金整理の流れ

8 破産審尋(申立から約1か月後)

何月何日の何時に裁判所に来るように、という呼び出しがされます。

期日に裁判所に行き、裁判官から申立書の内容に間違いないか(自己破産に至る経緯や、借入額など)、今後借り入れをしないで生活を立て直せるか、などについて質問されます。

借金整理の流れ

9 破産手続き開始決定

見るべき財産が無く、特段調査の必要が無い場合には同時廃止決定となります。

借金整理の流れ

10 免責審尋(破産審尋から約2か月後)

債権者からの意見申述などの期間を経て、もう1度裁判所での面談が行われます。

破産という手続きを理解しているか、申立書に虚偽の事実は書かれていないか、などの確認がされることが多いようです。対象者が多い場合は、1対1ではなく集団で行われるケースもあります。

借金整理の流れ

11 免責許可決定、確定

免責(借金が0になる)されることの決定、官報公告を経て2週間で確定します。


自己破産による職業の制限について

上記「9 破産手続き開始決定」から「11 免責許可の確定」の間、申立人は「破産者」となり、この期間(同時廃止の場合、だいたい2~3ヶ月)は、一定の職業や資格に就くことができません。なお、免責許可の確定後は制限がなくなり、それらの仕事に就くことができます。破産すると一生職業制限がされるという誤解がありますが、そんなことはありません。

具体的にどのような職業や資格に就くことができないのかについては、「自己破産をするときに注意が必要な職業」の記事で詳しくご説明します。




keyboard_arrow_up

電話番号リンク 問い合わせバナー