借金返済に困っていて、何かしらの解決をしなければならないことは分かっているが、自己破産しなければならないのか、はたまた別の方法があるのか、どうすれば自分の借金問題を解決できるのかが分からない、というご質問はとても多いです。
借金が残っている場合の債務整理には、主に任意整理、個人再生、自己破産の3つの方法が考えられます。
ここでは、どの方法を選択すべきかを考えるためのステップ、およびそれぞれの方法の特徴についてご説明します。
このページの目次
まずは借金総額、家計収支、所有財産の調査をする
最初のご相談の段階で、任意整理、個人再生、自己破産のうちどの方法によるかの方針が決まるケースはあまり多くありません。
というのは、債務整理の方針を決めるためには、借金総額がいくらなのか、家計収支にもとづいて返済にいくら回せるのか、手持ちの財産にどのようなものがあるのか等を正確に把握する必要があるからです。この正確な調査こそ、司法書士等の専門家の腕の見せ所です。
借金総額は、ATMレシートや債権者からの通知書などをもとに推測できますが、いざ調査してみたら一部過払金が発生していて、借金額はもっと少なくなるケースもあるのです。実際、最初自己破産したい、とご相談に来られたのに、結果として過払い請求で解決したという事例は多くあります。
家計収支は、2~3ヶ月、家計簿をつけていただき把握していきます。その家計簿を見ながら、通常の家庭でかかる経費の計上漏れが無いか、金額の過大な経費がないか、などを見極めていきます。そして、月にどれくらいの金額の余裕があるのか、そのうちいくらくらい返済に回せるかが明らかになります。収入が無い場合は、自己破産の方向性が強まるといえます。
所有財産の内容や評価額も、債務整理の方針に少なからぬ影響を与えます。たとえば、持ち家がある場合は自己破産は極力避けたいでしょう。
調査が完了したら、司法書士と依頼者とがご相談の上で、債務整理の方針を決定していきます。
債務整理の方針の検討手順
債務整理の方針は、次の順番で検討していきます。
- 過払い請求できるものがないか
- 過払金が無い場合、任意整理で解決できるか
- 任意整理が難しい場合、個人再生で解決できるか
- 個人再生も難しい場合、自己破産の可能性を検討する
なお番外編ですが、最後に返済してから5年以上経過している借金がある場合、消滅時効により借金が消滅していないか検討することも忘れてはいけません。
3つの債務整理方法の特徴
任意整理の特徴
- 将来利息のカットにより、月々の返済金額が減少する
- 一部過払いが発生していれば、さらに返済額は減少する
- 3~5年分割(36回~60回)で返済できることが必要
- 裁判所の手続きが不要なので、比較的手続きは楽。費用も抑えられる
個人再生の特徴
- 完済が難しい(支払不能に陥るおそれがある)場合に利用できる
- 借金を5分の1~10分の1程度に減額できれば、3年で完済できることが必要
- 安定した収入が継続的に見込まれることが必要(無職や生活保護者では難しい)
- 住宅ローンがかなり残っている持ち家を所有している場合、持ち家を手放さなくてよい可能性がある
- 評価額の高い財産(自動車、住宅ローンの無い不動産など)を持っていると、十分に借金減額ができないケースがある
- 裁判所での手続きになり、作成する書類、認められる条件が複雑なため、費用は高くなりがち
自己破産の特徴
- 家計収支がマイナスなど、借金返済の見込みがない(支払不能)ことが必要
- 借金が免除される。1円も払わなくてよくなる
- 一部、免責されない債務もある(税金、社会保険料、養育費など)
- 生活に必要な最低限のお金や家財道具などは手元に残せるが、20万円以上の財産があれば差押え、換金されてしまう
- 一時的にできなくなる仕事、資格がある
相談が遅れると選択肢が狭くなる
このサイトでは、債務整理の相談はお早めに、と多くのページで呼びかけています。
それはなぜかと言うと、相談が早ければ早いほど、解決しやすくなるし、選択の幅が広がるからです。
たとえば、まだ返済を滞納していないが家計が厳しい、という段階でのご相談であれば、任意整理を中心に比較的簡易な方法をご提案することができます。費用も自己破産などに比べると安く済みますし、解決までの時間も短くてすみます。
一方、何カ月も返済が滞って滞納額が何十万、何百万となると、ある意味手遅れであり、もう自己破産しかない、家や自動車を手放すしかない、という選択しか採りえないこともあります。
実際には、数回にわたり返済が滞ってある程度滞納額がたまってきて、本当に苦しくなってからご相談いただくケースがほとんどです。それまでずっと苦しい思いをしてきた、と最初のご相談でおっしゃる方が多いです。
そんな時、私としては、そんなに1人で抱え込まないでください、我慢しないでください、恥ずかしいなんて思わないでください、そんな気持ちになります。
当事務所では、生活再建のために、一緒に解決方法を探していきます。それぞれ置かれたご相談者の状況ごとに、解決策を考えていきます。当事務所では無料相談が可能ですから、本当にお気軽に、そしてお早めにご相談いただきたいと思います。