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自己破産とは
自己破産とは、裁判所に申立てをして「免責」という決定をしてもらうことにより、借金の支払いを免除(ゼロ)にしてもらうことを言います。
「1円も払わなくていい」とご説明すると、本当?と思われるかもしれませんが、自己破産は破産法という法律に基づく正式な制度です。
なぜ、そんな法律があるのでしょうか。それは、借金を返済できる見込みのない方の、経済生活の再生の機会の確保を図ることにあります(破産法第1条)。簡単に言うと、過去を清算して新たなスタートしてほしい、ということなのです。
ですから、どう頑張っても返済ができないという状況になったら、この法律で定められた自己破産制度に頼ってください。恥ずかしいから、バカにされるから、そんなこと考えなくていいです。解決したいのであれば1人で悩むのではなく、少しでも早く司法書士に相談してください。
自己破産についてのよくある勘違い
借金がゼロになる分、失うものも大きいのではないか?と思われていませんか?
一般的によく聞かれる疑問として、次のようなものがあります。
破産すると戸籍に記載されるのでは?
選挙権が無くなるのでは?
家族・親族の将来に影響してしまうのでは?
身の回りの人に知れてしまうのでは?
会社を解雇されてしまうのでは?
身ぐるみはがされて生活する場所を失うのでは?
ご心配の方もいらっしゃると思うので、ここで誤解を解いていきたいと思います。
- 戸籍に記載されたり、選挙権をはじめ公民権が停止されることはありません。法律上の根拠がありません。
- 家族・親族の将来にはまず影響しないでしょう。家族でも親族でも法律上は別々の人ですので、基本的に悪影響が及ぶことはありません。ただ、保証人になっている家族がいる場合はその保証人に支払い請求がされることになります。
また、自己破産をした方の家族が結婚できないとか、就職や転職ができないといった法律上の制限もありません。
- 近所の人に知られる可能性はかなり低いです。破産手続きをすると官報という国の新聞のようなものに掲載されるので、知られる可能性が0とは言えませんが、一般の方が官報を見ることはまず無いでしょう。
- 自己破産を理由とする解雇は、きちんと出勤し仕事をしている限り、不当解雇として無効となります。
ただし、一部破産手続き中は行えない職業もあります。弁護士や司法書士などの士業もその1つです。
- 自己破産すると、借金が0になる代わりに財産が全部取られて一文無しになるのでは?という勘違いが多いです。しかし、破産法には「自由財産」という、自己破産しても差し押さえられない財産の範囲が定められており、99万円以内の金銭や生活に必要な家具などが代表例です。
また、家賃さえ支払っていれば、自己破産したからと言って退去を求められる可能性も低いと言えます。上でも書きましたが、そもそも家主さんが自己破産の事実を知る可能性が低いです。
自己破産の注意点
借金が0になるという絶大なメリットがある反面、失うもの、デメリットもあります。ここでは、自己破産の注意点についてご説明します。
ブラックリストに載る
自己破産をすると、貸金業者等がもつ信用情報に自己破産したことが登録され、新しくローンを組んだり、クレジットカードが作れなくなります。もっとも、これも5年~10年程度の期間に限ったものであり、一生続くものではありません。
税金などは免責されない
自己破産すると借金が0になる、とご説明しましたが、中には自己破産しても支払う義務が残る負債があります。
代表的なものが税金や社会保険料、年金保険料などの国に対する負債です。自己破産される方は多くの場合、こうした公的な支払いも滞っていることが多いので、返済計画を検討する必要があります。
また、扶養義務に基づく請求権(養育費など)、国からの罰金なども免責されません。
財産を失う
自己破産をすると、生活に必要な最低限のものを除き、所有している一定額以上の財産は差し押さえられた上で換金され、その代金を債権者への返済に充てられることになります。たとえば、持ち家は手放さなければなりません。
しかし、すでに述べたように、自由財産と言って最低限の生活を営むための金銭、貯金、家財道具まで取られることはありません。自己破産を検討される方の多くは、高額な資産をお持ちではないと思われます。換金できる財産が無ければ、失うものはないとも言えます。
まとめ
以上、自己破産についてご説明してきました。
自己破産は、借金が0になるという大きなメリットがある反面、どうしてもある程度失うものはあります。前記のとおり注意点もあります。
しかし、どう頑張っても支払い切れないまま状況を放置しては、いつまでも苦しさからは解放されません。破産法は、そうした方々に、「立ち直ってくれ」というメッセージを送っています。
手続き的には、どう頑張っても支払い切れないこと(支払不能)を裁判所にきちんと証明するため、たくさんの書類を作成し提出する必要があります。一般の方がご自身で必要十分な書類を作成するのはかなり難しいと言えます。
1人で悩まず、ぜひ司法書士にご相談ください。