前回のコラムでもご説明した通り、法テラスは、十分な収入や資産をお持ちでない方でも法律サービスを利用できる制度です。
今回は、どれくらいの資力や収入であれば法テラスを利用できるのかなど、法テラスの支援を受けるための条件についてご説明します。
このページの目次
法テラス利用の3つの条件
法テラスによる民亊法律扶助のサービス(無料相談や、弁護士・司法書士への費用の立替え)を受けるためには、次の3つの条件を満たすことが必要です。
1 収入等が一定額以下であること
2 勝訴の見込みがないとはいえないこと
3 民事法律扶助の趣旨に適すること
1 収入等が一定額以下であること
次の「(1)収入基準」と「(2)資産基準」を両方とも満たしていることが必要です。
(1)収入基準
法テラスを利用するための手取月収額(賞与を含む)は、ご家族(同居の扶養親族)の人数により次のように決まっています。
*手取月収額は、法テラスの利用申込者とその配偶者の合計です。
*( )内の数字は、東京23区、川崎市、横浜市など生活保護一級地の場合に適用されます。
人数 | 手取月収額 | 家賃又は住宅ローンを負担している場合の加算額 |
1人 | 18万2,000円以下 (20万200円以下) | 4万1,000円以下 (5万3,000円以下) |
2人 | 25万1,000円以下 (27万6,100円以下) | 5万3,000円以下 (6万8,000円以下) |
3人 | 27万2,000円以下 (29万9,200円以下) | 6万6,000円以下 (8万5,000円以下) |
4人 | 29万9,000円以下 (32万8,900円以下) | 7万1,000円以下 (9万2,000円以下) |
5人以上 | 1人につき30,000円(33,000円)を加算 |
(2)資産要件
申込者とその配偶者が保有する資産(現金、預貯金、有価証券、不動産など)が、家族の人数に応じて次の金額以下であることが必要です。
*将来負担すべき医療費、教育費などの出費がある場合は相当額が控除されることがあります。
人数 | 資産合計額の基準 |
1人 | 180万円以下 |
2人 | 250万円以下 |
3人 | 270万円以下 |
4人以上 | 300万円以下 |
2 勝訴の見込みがないとはいえないこと
厳密にいえば過払金以外を除く債務整理においては、借金している方に支払義務がありますから、訴訟で判決まで行けば敗訴してしまうので、勝訴の見込みがないと思われるかもしれません。
しかし、「勝訴の見込み」には、和解、調停、示談等により紛争解決の見込みがあるもの、自己破産の免責見込みのあるものも含まれます。任意整理では債権者(サラ金)との交渉や和解により解決の見込みがあるといえますし、自己破産でも免責見込みがあればこの条件は満たします。借金問題ではほとんどのケースでこの条件を満たすと考えられますので、ご安心ください。
3 民事法律扶助の趣旨に適すること
報復的感情を満たすだけや宣伝のためといった場合、または権利濫用的な訴訟の場合などは援助できません。生活再建を目的とする債務整理においては、特に問題なく条件を満たすといえます。
まとめ
法テラス利用にあたってもっとも気になるともいえる利用条件についてご説明しました。特に重要なのは収入基準、資産基準になります。個別の計算方法で判断が難しいケースもあるかと思いますので、お気軽にご相談いただければと思います。
次回は、法テラス利用の流れについてお話していきたいと思います。