FX・投資と債務整理

FX(外国為替証拠金取引)は、ドルやポンドなど外国為替の変動を利用した投資です。少額の元手(証拠金)で始めることができ、うまくいけば大きな利益が得やすく、またスマートフォンやネットでいつでも取引ができる手軽さもあることから、サラリーマンや主婦のお小遣い稼ぎの手法として人気があるようです。

FX株式投資には「ロスカットルール」があるので、証拠金の範囲でしか損失が発生しないはずであり、負け幅も大きくならないように思います。ただ、損失が出た際に取り返そうと思うと、借金をしてまで追加証拠金を投資することになり、気がついたら返済できないほどの借金に膨れ上がっていた、という事態になるケースもあります。

FX取引以外にも、株式投資や先物取引など、経済情勢の変動によっては大きな損失につながる可能性のある投資についても、借金をつくる原因になりがちです。

こうしたFX・投資が原因の借金は債務整理をすることができるのか、についてご説明していきます。

任意整理、個人再生の場合は問題なし

任意整理、個人再生の場合は、借金の原因については特に審査されません。任意整理の場合は貸金業者等に借金の理由を説明する必要はないし、個人再生の場合もFX・投資が原因の借金であっても減額が可能。大きな支障なく、債務整理をすることができます。

FX・投資は自己破産の場合に問題となる

破産法では、偶然の利益や成功を目的とする「射幸行為」を原因として著しく財産を減少させ、または過大な借金を作った場合は、原則として免責しない(チャラにならない)と規定されています。FX取引や株式取引、先物取引なども、為替相場や株価の変動による偶然の利益を目的とする取引ですから、射幸行為に含まれます。

こうした、自己破産申立てをしても免責が認められない事由のことを「免責不許可事由」といいます。

そうすると、FX・投資による借金は自己破産による解決ができない、とも思えます。

FX・投資による借金でも免責されるケースがある

もっとも、FX・投資による借金が免責されないのは、「著しく」財産を減少させ、または「過大な」借金を作った場合です。月に1万円とか2万円とか、少額の投資であれば問題になるケースはほとんどありません。

また、破産法では、「裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができる。」という「裁量免責」についても規定しています。

FX・投資による借金であっても、情状酌量の余地があったり、本人の真摯な反省が見られる場合は、裁判所の裁量によって免責される(借金が0になる)ケースもあるのです。実務的には、よっぽど悪質な事情がな限り、免責はされます。

ただ、FX・投資による借金の金額や収入に占める割合が大きいなどの場合、管財事件になることが多いです。この管財事件は最初に裁判所へ20万円以上の予納金を納付しなければならなかったり、簡易的な同時廃止事件と比べて時間が長くかかるというデメリットもあります。裁判所で厳しいことを言われるかもしれません。ただ、最終的に免責はされることが多いです。

大切なことは、FX・投資にはまってしまった事実を認めて向き合うこと、そして反省しており今後は同じことを繰り返さないこと、そうした思いを書類、面談で裁判所にきちんと伝えることです。

投資で多額の借金をしてしまい、どうにも返済できないという場合は、まず当事務所にご相談ください。自己破産以外の方法で解決できるかもしれないし、自己破産の場合でも対応策を一緒に考えていきましょう。

keyboard_arrow_up

電話番号リンク 問い合わせバナー